中学、高校の頃
「先生、具合が悪いんで、
早退させてください!」


不定期に6限目を受けずに帰る僕の
法則に誰も気づかなかったはず。

ふふふふふ、そう、名探偵明智くんでも…

って、「あっ、今日だ!!」
10チャンネル(当時)の
3時からやる傑作ワイド劇場で
天知茂が明智小五郎を演じる
江戸川乱歩の「美女」シリーズを
新聞で見つけるたびに帰ってただけなんですけどね。


小さい頃から、大の恐がり
夜中トイレに行けず、小学校6年生まで
おねしょをしてたり

口裂け女に会わないようマジびびってたし
太陽の下、野球やドッジボールに興じるより
江戸川乱歩はもちろん
杉本一文先生が描いた表紙カバーや
「鵺が泣く夜は恐ろしい…」
「祟りじゃ、八つ墓村の祟りじゃーーっ!」の
横溝正史の本を読みふけったり、映画を観たり

海外だとアガサ・クリスティ
マンガだって、なかよしでは高階良子先生
花とゆめの『マリオネット』
和田慎二先生の短編『朱雀の紋章』

秘密を持った美女、しがない探偵
嵐で定期便が来ない孤島
土砂崩れで唯一つの道が閉ざされた村
隠し扉のある洋館

そのなかで蠢く愛憎と欲望
そして、ひとりひとりと残忍な方法で
殺されて行く登場人物たち

禍々しいなかに、絡み取れた人間関係
そういう話が大大好きだったんですよね。


最近の、いじめとか、サイコパスとか
被害者も、それこそ真犯人も
「別にこいつじゃなくても」てな
犯罪動機に意味のない小説や映画

いやいや、それこそフィクションじゃなくて
実際の事件は、ただただ胸くそ悪いだけで
好きじゃない


そしてタイムマシンに乗れるのなら
どんなに便利でも、整然とした未来より
混沌と暗がりのあった戦後まもない
「未来」を夢見る過去
を旅してみたい。


そんな僕が、もうドンピシャだったのが
マンガ幽麗塔

なにがいいって、もう完結してたこと。
最新刊を読むたびに、それまでの話を忘れてて
読み返しちゃうからさ。

舞台は昭和29年の神戸、
幽霊塔と呼ばれる時計塔で
財産家の老婆が無惨に殺されてから2年
主人公の冴えないニート 太一が
何者かに同じように時計塔の針にくくりつけられる。
間一髪助けてくれた美青年テツオに
「幽霊塔にある財宝探しを手伝ってくれれば
金も名誉も手に入る」と唆され。

死体で発見された容疑者、消えた婚約者
謎の美青年、連続殺人鬼「死番虫」
罠のはりめぐされた地下迷宮

恐ろしい冒険譚かと思いきや
(実際、夜中ひとり部屋で読んでるとき
玄関のチェーンを確認したり
クローゼットのすきまが怖くて閉めたりした)

性同一障害、少年愛、性倒錯者
近親相姦に、臓器移植、整形マニア
今だったら誰もが知ってる病気だったり
性的指向だけど、

当時はただの“変態”で
隠し通さなきゃいけず、世間を偽り
孤独を抱えて生きている登場人物たちが

「声も小さいマイノリティーが、
誰とも争わずに生きていける国があったらいいね」と
遠い世界に、夢を持つ話だったよ。

もう、ダブルで僕の大好物!!!
もう最終巻まで子どもの時のように
心を躍らせて(悪夢に出て来ないよう祈りながら)
読みふけったよ。

男と女、どっちを愛するかじゃなくて
どう愛するか…


僕は、イギリスドラマ『SHERLOCK』や
自分の生涯ベストワンマンガ
『BANANA FISH』にしても
事件解決にあたって、命をかけて互いを守り
信頼し合う関係に憧れるんだなぁ。

講習受けて、探偵事務所でも開こうかな。

それと「若さの秘訣は」
「心に少女を飼う」

少女の心で、美しいものを愛で、
恥じらいやときめきを感じて生きるんだ!
心の中から涌き出る何かが体を若くするんだ。


劇中のある登場人物のセリフに
自分を肯定しまくった、もうすぐ44歳のおじさんです。