いまは埋め立てが
どんどん進んでいるんだけど
実家の2階のベランダからは、海が見えた。

あの海の向こうに広がる世界や
見知らぬ異国があるんだ…って。
大和和紀さんのマンガ
『ヨコハマ物語』の万里子みたいに、
あたしは思いを馳せていたんだけど…同じ海でも

「目の前に海があったら、
もうそん先どこにも行かれんような気になるよ」。


長崎の漁港で、病気の祖父母と暮らす
祐一(妻夫木)の閉塞感が
小中高も、勤め先も同じ国道一本の世界の
光代(深津ちゃん)の孤独が
祐一と出会う前まで、失う人さえいなかった
彼女の淋しさがヒシヒシと伝わってきて

体を震えさせたよ
『悪人』

いや、マジで、劇場の演出で
冷房強くしたのか
映画館の外は残暑の新宿なのに
いつのまにか、膝も心も抱えながら観てた。

『ガラかめ』の「ふたりの王女」
姫川亜弓のオリゲルドの演技に
観客が「寒い、寒いわ……」となるの
体感できたもん!

よっ!深津ちゃん!千の仮面をもつ女優!!
(深津ちゃんが結婚したら、世のアラフォー独女は
マジでショック受けるんじゃないか)

ストーリーはこれから観る人多いと思うので
書きませんが
(だって、平日のレイトショーなのに満席!!)
宣伝文句「誰が悪人なのか?」
って内容じゃない気がするんだけど…。
その辺の誘導の仕方(演出)が、
すごく分かり易すぎっ!
熱演の妻夫木くんはもちろん
岡田くんも「カッコいい」とか「モテたい」って
ステージから降りたいのか、早っ!!

あたしも20代のころは、出会い系で
ハッテン場で、ヤリまくりの時期ありました。
光代のようにずっと思ってた。

「本気で 誰かと 出会いたかっと。ダサいやろ?」

友だちもいず、職場に同世代の同僚もいない
相方は、どこか祐一に似てます。

そんな閉じこもった彼が、
もし祐一みたいに事件を起こしたら
あたしは迷わず、光代のように
自分の勝手な欲望のために、
彼の自首を思いとどまらせ
一緒に逃亡することを選ぶだろうな。

誰もいない世界に。
ひとりで大事に今の生活を守るなら
ふたりで壊れるほうがいい。

そんな身勝手さを相手に押し付ける
あたしも「悪人」ですよ。


いや、そもそも人を傷つけたり、
嗤ったりしてる時点で「悪人」か。