瀬尾まいこさんの『図書館の神様』という小説の中で

「文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ。

見ず知らずの女の人に恋することだってできる。~中略~

そこにいながらにして、たいていのことができてしまう。

のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、

どこでもドアで世界を回る。

マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。

僕は本を開いてそれをする」

という、主人公のセリフがあります。膝を打ったね。

あたしは「図書館」大好き☆

実家の近くには大きな市立の中央図書館があります。

日曜日は途中下車して、借りだめ。

昔は、その街が嫌いだった~。

駅を出てすぐに「花びら大回転」と掲げられたストリップ劇場。

少し歩けば昔の“赤線”。

ピンクに灯った部屋の前に立って客待ちする外国人。

紙ふぶきのように散った競馬の外れ馬券。

ちゃんぽんのように入り混じったお酒の匂い。

「仕事してんだろうか」いや、「帰る家はあるんだろうか」

すれ違う人に眉をひそめて

「パンがなければ、ケーキを食べればいいじゃないの!」

あたしは、こことは別世界のお姫様!ってな勢いでしたよ。

けどね、今は行くとホッとします。

ここまで変わらない街並みは『ブレードランナー』のような

近未来に見た“懐かしさ”。

“故郷”といっても、過言じゃない。

そりゃあ、すえた匂いは嫌だし、中央競馬が終わった時分に

流れる人込みに遭遇しちゃうと辟易するけど。

ああ、これもひとつの街のカラーだな~って。

逆に新しく開発されたみなとみらいとか、けっ。゛(`ヘ´#)

てめえら、こっち側に来て初めて「ホントの横浜知るんじゃい!」って。

東京には、紀伊国屋など書店は数あれど、

あたしにとって「大きな書店」は今だ「有隣堂」だし

飲み会の待ち合わせは「ODEON」前。

今はなき東宝会館で映画を観ると、予告の前に流れる

「神奈川ニュース」。横浜市民は映画の前に

地震防災訓練やら、夏休み子供教室やらのニュース観てたんだから。

そして「ドラえもん」だろうが「バック・トゥ・ザ・フーチャー」だろうが

「とうげん、とうげん、桃玄」ってラブホテルのCMが流れるんだよ!

いつの間にか年を取り、やさぐれたい夜もある。

飲み潰れたい恋や別れを繰り返し、

誰でもいいから「抱いておくれよ~」と

すがった寂しさもある(イメージは西川峰子姐さん)

ああ、あの頃見ていた大人たちも、一生懸命生きていたのね。

誰にも見せられない(垣間見せてるか)自分の中の暗闇が

この街を歩いていると、他の景色に馴染んで楽になるから不思議。

まあ、この気持ちを上手く説明できない。

普通の家庭で、ごく自然に愛されて育ってきたのに

この胸に吐き気のように、湧き上がってくる黒い欲望や感情はなんだろう?

「ああ、これだ━━━(゚∀゚)━━━!!!」

読み進める度に気分が悪くなるのに

爽快感が増してくる小説が桐野夏生さん著

『グロテスク』

東京電力OL殺人事件を基にしたこの作品は、

血中「女」濃度高いあたしの血流がドクドクと波打ちましたよ。

(「女」とひと括りにしちゃうと、「女性」に申し訳なくなるくらい“毒”)

本の中に、この思いは隠しておこう・・・・。隠しておかねば。

なんか、話がすごくズレてってるね。

この小説は誰もに薦められる代物でないけれど

自分の暗闇に直面したい人はぜひ。

闇の中にこそ、真実の光はあるのです!宗教家かっ。(*゚ー゚)ゞ